正しいお辞儀とは?

まるで敬礼、いえ…もっと深く最敬礼の姿勢でお辞儀をしているかのような。
ある日の朝、起きてきたら迎えてくれた芍薬です。

先日、ある方とお食事をご一緒し、お店を後にする時に女将さんがお見送り下さいました。
女将さんのお辞儀が、同じ女性としても見惚れるような美しさ。
肘を張り手を体の前で重ねるのではなく、腿のあたりに自然に添えていらして。
お着物姿も相まってとても素敵で、お辞儀はこうありたい!と思っていると
「いいお辞儀だねぇ~。」
「最近多い、肘を張って手を体の前で不自然に重ねてするお辞儀って流行りなの?」
と、ご一緒した方からこのように投げかけられたのです。

遠い昔のある日、祖父にお辞儀の仕方を習ったことがありました。
正確に言うと、教えられた、ですが(笑)
若い頃に柔道の聖地と呼ばれる講道館で練習を積み、礼儀にはうるさかった祖父。
「気を付け」をした時の姿勢、つまり手は真っすぐ下ろして腿の側面に添えた状態。
ここからお辞儀と共に、ゆっくり腿の前面に手を移動させて丁寧に止める。
決して、肘は張らない自然な姿。
お辞儀は、頭を下げるのではなく差し出すこと。
このようなことを、いつもは優しい祖父がちょっぴり強面で話す姿。
最初はお遊び感覚だった子供の私も、途中からしっかり習い真似をした記憶。
すっかり忘れていたのに、潜在意識というパンドラの箱から飛び出しました。

きっと、時代と共に習慣や風習、文化は変化し続けるものです。
例えば、平安の頃の書物を今の私たちが容易に読み解くことができるか?
と言われたら、専門家の方以外は無理ですね。
何かの折に昔の漢字は今より難しく画数も多くて複雑、と驚いたことがあります。
少しずつ少しずつ簡略化され、今の漢字に仕上がったのでしょう。

同じようにお辞儀もここ数十年で変化してきた、ということなのかもしれません。
それに、手を重ねることが全て悪い、という事でもありません。
手を重ねる際にも、右手を利き手という前提で
右が上なら、すぐにお相手のために動けるという意味。
左が上なら、昔に例えたら刀などを抜いて相手に危害を加えません、という意味。
このように、手の上下にまでもお相手への心遣いが見えるから深いですね。
ただし。手を重ねるということは本来は「休み(休止)」です。
神社で、参拝前に手を前に重ねた状態からお辞儀しません。
どなたも「気を付け」の姿勢から始められていらっしゃるはずです。
手を体の前で重ねた状態でいたとしても、お辞儀の前には改めて「気を付け」の姿勢に。
その姿勢からの手を自然に腿の前に添えてするお辞儀の素晴らしさ。
是非、一緒に実践しませんか?

日本古来のお辞儀って、無駄がなくて不自然な力みもなく美しい。
お辞儀はただのポーズではなく、その姿で相手への敬意と感謝の深さを表すこと。
日本人のお辞儀は、世界に誇る美しさですね。

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