「マナーの原点に触れた日」〜心を満たすプロフェッショナルのサービス~

ある企業様の会食実践レッスンのため、フランス料理店を訪れた際の出来事をお話させてください。

今回伺ったのは、一度惜しまれつつもクローズされた名店。
その後、当時のスタッフの皆様が再集結され、再オープンを果たされた人気レストランです。

初めて訪れた日のことは、今でも鮮やかに記憶に残っています。
空間の美しさ、そして心に届くサービスの温かさ。
再オープン後の評判も耳にしていて、いつかまた訪れたい――
そんな想いを、ずっと心に温めていました。

レッスンで利用するお店は、毎回とても悩みます。
お料理はもちろん、雰囲気、サービス…
すべてを含めて、受講生の皆様にとって学びとなる空間を選びたいからです。

そんな中、「あ、そうだ」とふと心に浮かんだのが、今回のお店でした。

お電話で数回やり取りをさせていただいた時点で、すでにその丁寧で的確、そして心地よいご対応に感動していました。
「見えないからこそ伝わる」――声の印象の大切さを、改めて感じた瞬間。
落ち着いたトーンと、こちらの様子を自然に感じ取ってくださるような、安心感のあるお声でした。

当日はあいにくの雨模様。
けれど、店内に一歩足を踏み入れた途端、笑顔で迎えてくださる皆様のお姿に、心がふっと和みました。
付かず離れず、絶妙な間合いでのご対応。何とも言えない心地よさでした。

お料理は控えめに言っても「最高」、いえ「最幸」。


夏のうっとうしさを吹き飛ばすような、鮮やかで爽やかなひと手間。
一皿ごとに、ご一緒した皆様からも感嘆と嬉しさのため息がこぼれます。

そして最後には、心躍るデザートワゴンの登場。
こちらのレストランでは、このデザートワゴンが名物のひとつ。
お腹が許すなら、すべてお願いしたいほどの魅力でした(笑)
大好きなモンブランを含め厳選しましたよ!

実は、デザートワゴンの場合、マナーとしては3種類ほどにとどめるのがスマートとされています。
そのことについて、あるサービスの方が印象的なお話をしてくださいました。

「もしすべてご希望であれば、もちろんご用意させていただきます。
ただ、他のレストランでは3種類程度に制限されることもありますからね。」

そして、続けてこうおっしゃったのです。

「マナーというのは、お客様だけでなく、シェフや厨房、私たちサービス側、
そして“他のお客様”とのかかわり合いの中で、大切にしていくものだと思っています。」

特に印象に残ったのは、「他のお客様」とおっしゃったことです。
たとえば、すべてのデザートをお願いすれば、切り分けや盛り付けに手間も時間もかかります。
そこに携わる厨房の方やサービススタッフの動きも増え、他のお客様への影響も出てくるかもしれない、ということです。

マナーとは、「自分がどう振る舞いたいか」だけでなく、
「自分を取り巻くすべての方々とのつながり」を見通すことでもあります。
もちろん、お店が快く受け入れてくださり、お腹にも余裕があれば、すべてを楽しむことを否定するわけではありません。
けれど、そのサービスの方のお言葉にはマナーの原点がにじんでいて、深く納得させられました。

経験と知識の積み重ねから生まれる、プロとしての自信と誇り。
サービスのプロの視点は、優しく、温かく、そしてとても的確なのですね。
ご一緒した受講生の皆様とこのようなお話に触れられたことも、印象深く心に残っています。

レストランという空間には、ただ「お腹を満たす」だけではなく、
「心を満たすサービス」が存在します。
一流のサービスを受けるということは、その空間にふさわしく迎え入れられるという誇りを経験すること――
そんなふうにも感じた時間でした。

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