母と味わった、伊勢という時間(前編)

母と二人で、伊勢神宮参拝へ行ってまいりました。
振り返ってみると、とても大切な時間を過ごせたことに感謝の余韻が続いています。
備忘録、として綴りますが、皆様是非お付き合いくださいませ。
以前、私が伊勢神宮を訪れた時の話を聞いていた母が
「私も生きている間に一度は行ってみたいな」
と話していたことがあり、
今回、その願いを叶えられたことに、ほっとしています。
今回の旅を決めてから、ずっと天気予報とにらめっこ。
雨マークが並ぶ予報に、正直少しがっかりしていたのです。
でも「雨の伊勢神宮は歓迎されている」という言葉を何かで目にして
ふと気持ちが変わりました。
確かに、雨を含んだ木々はきっと美しいでしょうし、
それこそ自然の禊のようなものなのかもしれない。
どんなお天気だとしても、伊勢神宮らしい表情に出逢えるのでは?
と、少しずつ私の心も軟化できたように思います。
前日に上京した母と、二人分の荷物を一つ大きなスーツケースにまとめて。
私はそのスーツケースを持ち、母は両手を空けた状態で出発。
母にとって、東海道新幹線に乗るのも随分久しぶりだったそう。
窓側の席に座ると、車窓の景色を夢中になって眺めていました。
心配していたお天気も、初日は思いがけず晴天。

少し雲はかかえっていたものの、車窓から富士山を望むことができました。
嬉しそうに眺める母の横顔を見ながら、
「きっとこの度は良い旅になる。」
と、幸先の良いスタートに、そう感じました。
名古屋では、近鉄へ乗り換える前にお弁当を購入しました。
「移動中にお母さんが喜びそうなお弁当は無いかな?」
と事前に色々調べていたのです。
名古屋出張時、何となく立ち寄った売店で目に留まったのが
『御園丸正』さんの銀鱈海苔弁当でした。
試しに購入して食べて「これだ!」と。

近鉄特急に乗り込み、電車が動き出してから二人でお弁当を食べました。
「こんなにおいしいお弁当、滅多にないわ。」
脂ののった銀鱈もご飯も、シラスも…
どれも本当に美味しかったようで何より!
宇治山田駅へ到着後、タクシーで外宮へ。
暑くもなく寒くもなく、雨も降らず、心地よい空気。
本当にありがたいお天気。
ゆっくりと参拝後、2泊お世話になった『いにしえの宿 伊久』さんへ。

入口の鯉たちに、こんにちは。
前回、友人と内宮参拝時に宿泊し、ロケーションの良さから今回も、と決めていました。
何より、温泉もある。
温泉好きの母はもちろん喜んで、毎日2回ずつ露天風呂を堪能。
「お肌がつるつるになった♡」
と嬉しそうに笑っていました。
今回のメインイベントは、内宮早朝参拝。
ところが、明け方、ものすごい雨音で目が覚めました。
「これはちょっと大変かもしれないね…」
スマートフォンで雨雲レーダーを確認し、再び眠りについたのですが…
次に目を覚ました時、なんと雨がピタリと止んでいたのです。
「行けそう!!」
慌てて支度を整え、宿で傘を借りて二人でいざ内宮へ。

まず向かったのは、赤福本店。
母に、できたての赤福をどうしても食べて欲しかったのです。
店員さんが「本日最初のお客様です」と迎えて下さいました。

「こんなに柔らかくて美味しいのね!!これで歩けるっ。」
出来立ての赤福をおめざにいただいて、エネルギーチャージ完了。
さて、おかげ横丁を歩いて内宮へ向かいます。
すると、驚くほど沢山のツバメたちの飛び交う姿が。

軒先からは、雛鳥たちの可愛らしい鳴き声が聞こえます。
巣を覗き込む私たちを 親鳥たちは警戒、体スレスレを猛スピードで威嚇。
「ごめんね、何もしないからね~。ちょっとだけ見せてね。」
そう声をかけると、 不思議と静かに餌を運び始めたんです。
気のせいかもしれません。
でも、 なんだか気持ちが通じたような気がしました。
五十鈴川の清らかな流れを眺めながら、ゆっくり内宮へ。

宇治橋を渡り、雨を含んだ木々の香りに包まれます。
ザクザクと響く玉砂利の音が、足元から身体全体へ伝わってくる。
この感覚が何とも心地よくて。
五十鈴川でお清めを。

深呼吸をするたび、体の隅々まで清められるような…
ただただ、この場に存在できるだけでありがたい気持ち。

母も、 木々を見上げながら、
「こんなにも素晴らしい場所だったのね。」
と、何度も感激していました。

気づけば、 参拝中に 雨は一度も降りませんでした。
そして、 宿へ戻る頃になって、 ぽつりぽつりと雨が落ち始めたのです。
「よく来たね」 「大丈夫だよ」 と、 そっと迎え入れてもらえたような。
神様の優しさを感じました。